私はアメリカのビジネススクール(大学院)に2年間留学していました。渡米前から卒業するまでの費用の詳細を家計簿に記録していたので、公開したいと思います。こちらは、2018年卒、慎ましい独身男の生活記録。合計2120万円(1ドル100-120円)かかりましたが、同期と比べるとかなり安い方だと思います(※詳細は記事の最後をご参照ください)。現在、学費はさらに高騰しています。また、家族帯同の方や、生活費の高いダウンタウンに住むことを検討されている方は、ここから生活費を数百万円プラスして考える必要があります。
殆どの人(たぶん99%以上の人)にとって、高額な授業料や生活費を払ってまで米国MBAを取る意味はないと思います。一方、目的意識が明確で、 卒業後、金融系、戦略コンサル、グローバル企業の米国拠点で働くことに興味がある方、そういった会社で働きつつ、20代後半から30代で年収を2000万~6000万円程度(1ドル110円の前提)まで上げたいというモチベーションがある方には、米国MBAを取って現地就職するというのも一つの手です。米国では、こういった業界は超学歴社会なので、米国トップスクールのMBAがないと応募すらできない職種もあります。日本のメディアや一部の知識人(?)が海外MBAを酷評しているのを目にしますが、実態を全く把握しておらずイメージでの議論でしかないため、ご興味のある方は鵜吞みにされず、自分で正しい情報を取りに行くことをお勧めします。米国企業、特にコンサルやテック系企業の米国MBA採用意欲は依然として強く、卒業後の給料も年々上昇しています。また、日本からの留学生は少ない上に、アメリカで現地就職する人は皆無なので、日本人+自分の強み+MBAが役に立つようなニッチなポジションを見つけることが出来れば、上手くハマるかもしれません。
留学に2000〜3000万円(1ドル110円の前提)も使うなんて正気の沙汰ではないと言う人もいますが、アメリカで就職する場合、卒業後の給料が跳ね上がるため、実はコスパが良かったりします(卒業後の給料はコチラ)。留学の是非は、留学費用だけでなく、自分の興味・関心や、卒業後のリターンなども含め、総合的に判断すべきで、高額な留学費用など物事の一面だけ見て判断するのは浅はかです。留学前には考えられなかった分野で活躍し、給料も上がるケースも非常に多いです。
トップスクール新卒で現地就職できれば、2000万円以上(1ドル110円の前提)は普通に稼げ、金融系だと3000万円から6000万円程度(1ドル110円の前提)は稼げます。ヘッジファンドなどであれば、もっと上もあり得ます(米国でのバイサイドの給与水準については、こちらをご参照ください)。アメリカの社会保障は充実してませんが、そこそこの企業に入れば福利厚生も悪くなく、税金も州によりますが日本よりは低いです。扶養控除もあり、401Kといった確定拠出制度では税金の繰り延べが出来ます。会社によっては、Profit sharingという制度の元に、基本給とボーナス以外の報酬も別に支給されます。会社の業績が良い場合、実はこれも馬鹿にできません(私の会社では、これだけで日本の平均年収を遥かに上回ります)。ちなみに、米国では保険料と医療費が高いと言われますが、私の会社はほぼ全額負担してくれています。
卒業後アメリカで投資銀行や米系ファンドで働けば、留学費用をたった数年で回収できます。戦略コンサルなどでは、学費を負担してくれる会社もあります。米国MBAを取る目的意識が明確な方にとっては、回収期間がたった数年の大変割安な自己投資になります。一方で、総費用の絶対額だけを見て学費の安い日本の大学に行ったとしても、卒業後の給料が低いため、返済に時間がかかるというのはよくある話です。
逆に、目的意識がはっきりしておらず、金融系、戦略コンサル、グローバル企業や、アメリカで現地就職したいというモチベーションのない方にとっては、海外MBAは高すぎるし、そもそも必要ない場合が多いでしょう。また、起業するためにMBAを取るべきだとも全く思いません。学費を払うお金があるのであれば、起業の軍資金にした方がいいと思います。
ファイナンスや戦略などの視点を身に着けたいだけの方は、日本の割安なパートタイムのMBAを取った方がコスパは断然いいと思います。
【目次】
2年間の留学費用総額:2,120万円
1.2年間の学費:$15,000=1,600万円
学校によって多少異なりますが、アメリカのトップ校の学費はどこも変わりません。ただし、UCバークレーやUCLAなど、州立の有名校の学費は少し安めでお得。
私の学校では、支払いは年2回、2年間で合計4回ありました。春学期と秋学期開始前に、学校に振り込む決まりになっていました。
2.2年間の生活費:$16,000=180万円
2年間、授業、資格の勉強、就職活動に集中していたため、娯楽費が殆どかかっていません。普通はもっとかかります。
- 食費:$1万2千=130万円
- 生活用品:$250=3万円
- 交通費:$1,840=20万円
- 通信費(携帯機種代込み): $1,600=18万円
- コインランドリー:$100=1万円
3.2年間の家賃(家具、光熱費、ネット代込):$14,500=160万円
同期で私より安い家賃を払っている人に会ったことがありません(笑)激安の寮に当選したおかげで、留学費用をかなり抑えらました。私の寮では寮生がインターン等で部屋を一時的に空ける場合、家賃が50%割引になりました。
都市部のダウンタウンに住まわれる方は、一番安いスタジオ(ワンルーム)でも3倍ほど家賃がかかるかもしれません。家族帯同で、1ベット(寝室+居間)を契約すると、下手したら4~5倍以はかかりますので、生活費を考える上でアパート選びは非常に重要です。
4.2年間の健康保険(強制加入):$4,600=50万円
学校保健に加入することを義務付けられていました。アメリカでは医療費がとんでもなく高いですが、在学中は無料で診療や予防接種を受けることが出来ました。
5.渡航準備・渡航費用:28万円
留学に際し予防接種やビザ面接は必須ですが、お金がかかります。渡航費用は留学のタイミングや航空会社などで違ってきますが、私は渡航のタイミングを直前で変更したので少し高くなりました。
- 胸部レントゲン、髄膜炎(4価、輸入)、MMR(麻疹、おたふく、風疹・輸入)、水痘×2、風疹:4万5千円
- 身元調査(学校のために、自分で調査会社にお金を払って、自分の身元調査をしてもらいます。):$100=1万千円
- SEVIS、ビザ面接費用:$300=3万3千円
- 国際小包(引越し費用):3万2千円
- 国際線航空チケット、米国国内の移動:16万円
6.現地セットアップ費用:$1,100=12万円
- 枕、カバー×2、タオル×2、布団、電気スタンド、LED等:$200=2万2千円
- 授業用小型ノートパソコン:$924=10万円
7.その他(サマースクール費用。寮費・食費込み):$8,000=90万円
正規の大学院のプログラムが始まる前に、英語の訓練も兼ねてサマースクールに参加しました。サマースクール参加者の英語力、コミュニケーション力を考慮すると、90万円もかけていく必要はありませんでした。
正規のプログラムは、ほぼアメリカ人かアメリカ人みたいな留学生だらけで、全く次元が違います。