
前回ご紹介した本の中にあった、人間はその時々の感情の熱量によって、行動を支配されてしまうという感情移入ギャップの話。お腹が空いている時にスーパーマーケットに行ってしまうと、買いすぎてしまうなど。
例えばある調査で、ジムで運動する前に水をもっと貰うべきだったかを聞いたところ61%の人がもっと水を貰うべきだったと回答しましたが、ジムで運動した後に聞いたところ92%の人が後悔していると回答しました。参加者が、合理的にジムで運動した後のことを判断できるのであれば、運動する前でも後でも、回答は同じになるはずです。
また、 サンプル数が少ないですが、別の実験ではお尻を叩いたり、束縛プレイを含む性的に刺激的な写真をパソコンで35人の男性に見せます。そして、被験者はそれぞれの写真をどのくらい楽しんだのか評価します。1回目は、クラスルームのような環境で、2回目はプライベートの確保された自宅で評価します。結果、1回目では35%の人が性的興奮を覚えたのに対し、2回目は52%という結果が出ました。つまり、我々人間には、その時々の感情の高まりや、環境によって行動が支配させてしまうという傾向があります。
このバイアスは、投資でもよく見られると思います。架空の話ですが、例えば、今であればコロナウィルスやインフルエンザが流行っているので、個人投資家などであれば、あまり深く考えずマスクを売っている会社を買ってみようという行動につながりかねませんが、実際会社を分析してみると、マスク販売の全社の利益率に対する貢献度は微々たるものであり、ウィルス流行は投資判断に全く関係のないものだった、といった類のものです。