リキャップCB(転換社債型新株予約権付社債)

リキャップCBとは、 企業が転換社債型新株予約権付社債(CB=コンバーチブルボンド=転換社債)を発行し、そこで得た資金で自社株を購入する手法のこと。 狙いは、負債と資本の再構成「Recapitalization」によるROEの改善。 転換社債発行で負債を増やし、自社株買いで資本を圧縮することで、結果的にROEは向上します。

リキャップCBは、ゼロクーポンで発行されるため、見かけ上金利負担がないこと、発行コストが割安に見えることから、2014~2016年ごろに約40社が発行しました(※日経新聞)。自分の担当銘柄も2社ほどリキャップCBを発行しています。

しかしながら、リキャップCBで会社の資本効率が本当に改善するかというと甚だ疑問です。理由は、発行時に設定された転換価格を株価が上回れば同社債は株式に転換されるから。従い、株価上昇に伴い資本構成・ROEがまた元に戻ってしまいます。

リキャピタライゼーションは、本来は最適な資本構成を達成するための手段ですが、リキャップCBの仕組みは、短期的にROEを上げるだけのものになってしまっています。株式の転換リスクが残るということは、リキャップCBによって最適な資本構成を長期的に達成する蓋然性はなく、WACCが低下する余地も限られることになり、企業価値へのインパクトも限定的なものと考えられます。また、資本構成の変化は、ROICといった本業の収益性に影響を与えませんので、リキャップCBが本質的に資本効率を改善しているとは思えません。

リキャップCBを発行した多くの日本企業は、証券会社の口車に乗せられてしまったのではないかと邪推してしまいます。。

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